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 建築確認申請の代行業務、いわゆる「代願」は、本来の建築設計だけでは食べていけない設計事務所にとって重要な業務となっている。代願を引き受ける設計事務所は建築士の社員がいない住宅会社にとって不可欠であり、建築士がいる住宅会社にとっても、面倒な事務手続きを伴う確認申請の外注先としてなじみ深い存在だろう。

 建築確認さえ下りれば、代願事務所はお役ご免になるのが普通だった。ただ行政庁のなかには、確認申請の際に工事監理者を決めるよう指導してくるところがある。この場合、代願事務所の建築士は住宅会社に名義を貸し、工事監理者として申請書に署名することが往々にしてある。
 そうして出来た住宅が欠陥住宅になったら、名目上の工事監理者となった代願事務所は工事監理の責任を負うのか。従来は裁判所によってこの判断は分かれていたが、「責任を負う」と断定する最高裁判所の判決が2003年11月14日に出て、この判断の揺らぎに決着を付けた。
 この最高裁判決の後、代願事務所の間には「もう足を洗う」「工事監理者として署名するのが怖くて仕方がない」などといった声が出るなど、波紋が広がっている。代願事務所に過度の負担をかけないため、住宅会社は早い段階で建築士の社員か社外の建築士を正式な工事監理者に任命せざるを得ないケースも出てくるだろう。
 しかし住宅会社にとって社外の工事監理者といえば、設計図どおりの施工をしゃくし定規に強要して現場を混乱させる、煙たい存在というイメージもあることは否定できない。
(日経ホームビルダーより)2004/01/20
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